オーバープリントとは？印刷で効果的なデザイン、間違った使い方

オーバープリントとは？

オーバープリントとは、Adobe Illustratorを使った時の印刷指定で、色の上に別の色を乗せて（重ねて）印刷する方法です。

通常、複数の色を印刷するときはそれぞれ指定された箇所に指定された色だけを乗せていく方法で印刷されますが、オーバープリントを使用すると、下地として印刷された色の上に重ねて別の色を乗せて印刷します。

オーバープリントが有効に使えるデザイン

オーバープリントはあまり使われることのない印刷方法ですが、この方法が活かされる場面も、もちろんあります。それは、濃い色の上に黒の文字を印刷したい時です。

例えば、濃いピンクの上に黒の文字を印刷するとします。

通常の印刷方法では、黒の文字が乗るところ以外に濃いピンクのインクで印刷し、まだ色が乗っていないところに黒のインクで文字が印刷されます。しかし、印刷時に紙が微妙にずれると、黒い文字の周囲に何も印刷されていない部分が発生し、一部が白く縁取りされたようになってしまうことがあります。

印刷をするときは、数百枚、数千枚の紙が印刷機を通過するため、どうしてもわずかなズレが生じてしまいます。仕方がないのですが、仕上がりの完成度が落ちることは否めません。

ところがオーバープリントで印刷すると、下地に濃いピンクが印刷されているので、紙が多少ずれても黒い文字の周辺に印刷されていない部分が出ることはなく、すべての印刷物を美しく仕上げることができます。

オーバープリントを避けたいケース

オーバープリントを避けたいのが、白抜きで文字やイラストを入れたい場合です。
印刷で白は紙の色を差し「何も印刷しないエリア」となります。しかしオーバープリントで印刷してしまうと、背景色に全体が印刷されてしまうので、白抜きが反映されません。

例えば、青い地に白抜きの文字で印刷したい時は、オーバープリントではなく青い色の台紙に白い文字を印刷するという方法をおすすめします。

また、オーバープリントでは2つの色が重なるため、重なった部分の色が混ざり想像していた色とは違う色で仕上がったり、オーバープリントのエリアが広いと、下地の柄や文字が透けてしまったりということがあります。

意図してオーバープリントしたい場合は、印刷後のガッカリを避けるためにも、必ず事前にご相談ください。

Adobe Illustratorの設定でオーバープリントを確認しよう

そのつもりはなかったのに、気付かずに設定をいじってしまいオーバープリントになってしまったというケースもあります。

オーバープリントの設定は、Illustratorの「属性」パレットの設定から確認できます。
「塗りにオーバープリント」「線にオーバープリント」のチェックが外れていれば、オーバープリントではなく普通の印刷です。

データを作成する前に設定を確認しておくと安心です。